マルチテック・ワッフルシリーズはnarifuriで COREカテゴリーにラインナップされる、今や人気となったシリーズです。
真夏以外のオールシーズン袖を通すことができ、よく伸び・乾きも早く、毛玉になりにくい機能性を備えながら、ふんわりとしたボリュームながらとても軽量な仕上がりで、その着心地は1度袖を通せばきっと病みつきになるはずです。
ここでは今や定番のプロダクトとなったワッフルシリーズの誕生から、その特性、デザインのこだわりなどを紹介していきます。
Multi Tech Waffle を紐解く



■ 始まりは好奇心から
ワッフルシリーズの初登場は、2020年秋冬コレクションと割と最近のことです。
当時はLeeとのコラボレーションがスタートし、世の中ではアメカジやスウェットなどがトレンドに上がっていました。そんな当時の流れからチーム内では生地感がフラットなスウェットパーカーではなく、立体的で、表面感のある生地でスウェットライクなものがあれば着たいよね、という話しが浮上し、本来インナーで多用されるワッフル地であえてスウェットをつくるのが面白いのではという企画がスタートしました。
条件をリスト化し、生地を探している中で辿り着いたのが「ウール+アクリル+ポリエステル」で作られたワッフル生地。これを採用して製品化されたのが「NF1128:ワッフルクルーネックスウェット」、マルチテック・ワッフルの前身です。

NF1128 は杢調でウール混のため、やや重みもあった
当時の市場ではこれ以外のワッフル地はインナー用の薄生地しかなく、NFが目指す厚手で機能的なワッフルスウェットを作るためにはこの生地しかないという消去法での決断でした。ここにいつもnarifuriが抱えるジレンマがあります。
そしてその次のシーズン、2021年は今や定番となっている「アクティブメッシュシリーズ」がスタートした年ですが、その生地の生産背景から生まれたのが、ポリエステル100%のマルチテック・ワッフル生地でした。

NF1146:マルチテック・ワッフルクルーネックスウェット
ポリエステル100% へ変更された、と聞いても一般的にその良さは分かりにくいと思いますが、簡単にまとめると以下の機能が向上することになります。
・他の素材に比べ、軽くなる
・ウールのチクチク感がなくなる
・毛玉になりにくくなる
・速乾性が向上する
・オールシーズン着用できる
そもそもワッフルは凹凸生地なので、肌へ点接着になることによりペタ付きにくさや軽量化ができる機能的な生地です。そこにnarifuriが目指すボリュームと、サイクリングに最適な機能性が付与されて出来上がったマルチテック・ワッフル地は、まさに理想の生地でした。

NF1173:マルチテック・ワッフルクルーネックスウェット(Latest Model)

■ 生地の秘密

当時は珍しい、narifuriが求めた「程よいボリュームを備えた、機能的なワッフル生地」を実現させたのが、現在のマルチテック・ワッフル生地です。
これはかなり実現が難しいもので、、通常コットンベースのワッフル地を厚手にしていくと風合いはあるものの、ゴワゴワし、乾きにくく、さらには重くもなります。
もちろんこれには好みも影響するので一概には否定できませんが、機能性を求めるnarifuriとしてはその逆で、ふんわりと、軽量で動きやすく、乾きやすいものを求めていました。
さてこの夢のような条件を可能にしているのが、ワッフル地を構成しているスペシャルな"糸"にあります。

ワッフル地の糸には、繊維の研究開発を行う帝人フロンティアが開発した <デルタピーク> と <ソロテックス> をMIXさせた糸が使用されています。
ソフトな風合いと独特のふくらみで嵩高(かさだか)を上げる <デルタピーク> と、伸びる・柔らかい・形態回復性を備える <ソロテックス> を"糸の段階"から混ぜ、さらにその糸を編み上げ生地にする際に通常よりも糸料を増やし、ハイゲージで編むことで、さらに生地の嵩高を増しています。
これにより、ハリコシがありながら心地よい伸縮性を備え、かつ ピリング(毛羽立ちや毛玉)もしにくいといった、特殊な生地が出来上がったのです。

1度袖を通したことのある人は実感しているかと思いますが、分厚いスウェット地でもなく、ゴワッとしたワッフル地でもない、まるで空気を含んだようなふんわりとした肌触りは最新の技術と、この生地を編み上げる職人技から成り立っていることを、ぜひ覚えておいていただきたいと思います。

■ たかがポケット、されどポケット。

サイクリングシーンや日常着としても、快適な使用感を追求するnarifuriの製品はシーズンごとにブラッシュアップをしていて、もちろんこのマルチテック・ワッフルもその対象です。この製品では新しい生地の採用自体が大きな変更になりましたが、実は細部のディテールにもそのこだわりが隠れていて、それを象徴するストーリーもあります。
2020年に製品化された NF1128 で初めて採用されたのが、脇から背中にかけて斜めにデザインされたサイドポケットでした。

V字ポケットを初採用
サイクルジャージーなどをサンプリングした背面ポケットをデザインする場合、ポケット位置が直線的だと手が入れづらく、物が取り出しにくいという意見がありました。
そこで少し傾斜をつけることで無理のない角度でバックポケットでアクセスすることができるのでは?と仮説を立て、新たに背中にV字のようにポケットを配置するデザインをNF1128にて採用することになります。
しかしNF1128の発売後しばらくすると、お客様や社内のテストライダーから「ポケットが斜めになっていることで、物が落ちやすい」という声や「物を入れると生地が伸びてくる」などの意見をいただき、ブラッシュアップすることにしました。
次モデルとなるNF1146では、ポケットの位置を後ろからやや横(脇下)へ移動させ、さらにポケットサイズを一回り小さくする改良をおこないました。

すると今度は「座った時に物が落ちてしまうことがある」という意見があり、NF1173 ではポケットにスナップボタンをつけることで問題を解決。
たかがポケットですが、narifuriにとってはされどポケット。3度にわたり細かなブラッシュアップを重ねることで今の位置・サイズ・デザインへと辿り着いたのです。


2020年の誕生から4年ほどの歴史ですが、生地との運命的な出会いからブラッシュアップの苦労を経て、今はデザインやカラーバリエーションも増えてきました。
narifuri CORE製品の中でも人気を誇るマルチテック・ワッフルシリーズは、今後も様々なデザイン・カラーで登場します。乞うご期待ください。

ワッフルスウェットの着こなし
公園へ行きハンモックの上で本を読んだり、音楽を聞いたり。休日にはたっぷりとリラックスをする時間が必要です。カジュアルに自転車を楽しむサイクリストMikeの着こなしをチェックしましょう。